一昔前までイサーン料理と言えば、バンコクでは田舎臭いものの代名詞的な存在でした。しかし最近ではバンコクでもイサーン料理がちょっとしたブームになっていて、すっかり市民権を得たのではないでしょうか。ソムタムやガイヤーンなどは、日本人でも聞いたことがあるかもしれません。
筆者も実はイサーン料理のファンで、タイを訪れる都度に専門店に足を運んでいます。なかでもとりわけよく通っているのが、バンコクのサートゥーンエリアにある名店「ラープウボン」です。
BTSスラサック駅の目の前という好立地なこともあり、お店はいつも混んでいます。イサーンのローカル食堂がそのままバンコクの都心に移設されてきたような造りが話題となり、この界隈では有名なようです。筆者もこの趣深さが気に入っています。
「ラープウボン」では、ソムタムやラープ、ガイヤーンなど、基本的なイサーン料理はすべてメニューに載っています。トムヤムクンなど、世界で有名なタイ料理のレパートリーもあるようです。

しかし、店内で他のお客さんを観察していると、なにやら大きな魚の焼き物を注文しているではありませんか。それも1組ではなく、何組も。あれは何かとイサーン気ムンムンの店員さんに聞いてみると、メニューをめくってプラー・ニンปลา nilの塩焼きだと教えてくれました。
プラー・ニンとは、タイ語でティラピアのことです。ティラピアは暖かい水を好む熱帯の淡水魚で、その適応力の強さから都市河川にも生息しているタフなやつ。沖縄では那覇の国際通りの近くにあるドブ川でも釣れるらしく、よく狙っている人を見かけます。
日本人の間での淡水魚に対する偏見も相まって、なんか臭そうな気がしますが、見た目のワイルドさが面白かったので私も注文してみることにしました。
そして来たのがこれ。

ワイルドかつシンプルを地で行くのがこのお店の流儀。ゆでた白菜も大量に添えられているのが嬉しいところです。
肝心の味はといいますと、タイを淡白にして、もっとなまめかしくした感じ。食用魚として全く問題なく頂けるレベルです。日本では泉鯛という名でブランディングしようとした過去があるようですが、安ければぜんぜん買いますね。
そして特筆すべきは両サイドに添えられているタレでしょう。右手はナムチムジェオน้ำจิ้มแจ่วという魚醤にトウガラシやタマリンドを配合した酸っぱくて辛いタレ、左手はナムチムガイน้ำจิ้มไก่というチリソースの一種です。
これがティアピアによく合っていました。イサーン地方というのはもともと土地のやせた貧しい場所で、収穫できる農作物にも限りがあります。冷蔵庫の無かった時代には、限られたものを発酵という手段を組み合わせてうま味を引き立てていたのではないでしょうか。そういう知恵が感じられる系の味(?)でした。
皆様もぜひティラピアでイサーンの知恵を味わってみてはいかがでしょうか。
▶ ラープウボン
営業時間 17:00~3:00
電話番号 +66 859815041

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